YAEYAMA, OKINAWA
SUBSCRIBE
ART HUB YAIMA
八重山 アート・カルチャー・メディア
Articles

ARTICLE · COLUMN · 2025.09

COLUMN

ART HUB YAIMA ―はじめに―

八重山のアート・アーティスト情報の集約・発信拠点を目指して

ART HUB YAIMA ―はじめに―
海の青さに 空の青 南の風に 緑葉の 芭蕉は 情けに 手を招く 常夏の邦(くに) わした島うちなー

吉川安一氏による「芭蕉布の詩」です。沖縄の力強い日差しの下の、海や山の情景が目に浮かびます。

石垣島・玉取崎より
石垣島・玉取崎より

私が住んでいるのは、沖縄本島から400km離れた離島・石垣島。西表島、竹富島、波照間島等を含む八重山諸島の玄関口となる島です。

豊かな自然環境と共存してきた八重山の島々には、様々な伝統芸能・祭祀などに見られるように、豊かな精神文化が息づいています。そして、この場所に惹かれ、この場所で創作活動を行うアーティストがたくさんいます。

しかしながら八重山には、2025年9月現在、公立美術館がありません。個人や企業が運営するアートギャラリーはいくつかあり、それぞれ魅力的な場となっていますが、非常に少ないのが現状です。

私は、大学卒業後、東京にある写真展の制作会社で企画営業職に就き、全国の美術館・博物館、百貨店などにおける巡回展を担当しました。著名な写真家さんや、デザイン、編集、印刷、展示施工等、様々な道のプロの方々とお仕事をさせていただき、たくさんの貴重な経験をすることができました。その後、東京都の文化事業の大半を担う財団に転職し、企画調整や経理、契約など様々な業務を経験しました。気づけば、いわゆるアートマネジメントの仕事を10年以上していました。

そもそもアートに興味を持ったきっかけは、中学生の時に母が連れて行ってくれたシャガール展でした。母はアートが好きで、特に私に対してアートのよさを語ったこともなければ、アートに触れる機会を意識的に用意したわけでもありませんでしたが、家にはいろいろな展覧会の図録がありました。中学生の私はシャガールの絵にとても感動して、なんとなく、アートや美術館に興味を持ったのを覚えています。大学生の時、母は急逝したのですが、喪失感と無力感でどうしようもない私を救ってくれたのもアートでした。美術館という空間に行くだけで、なんだか癒されて、生きる力をもらいました。だから、暇さえあれば美術館に行っていました。

西表島・クーラの滝
西表島・クーラの滝

石垣島に移住したのは、ざっくり言えば「海が好きだったから」ですが、この地で出会うアーティストや作品の素晴らしさに感動する一方で、アートに触れられる場の少なさを寂しく思うようになりました。

八重山にどんなアーティストがいるのか、どこに行けばどんな作品に出会えるのか、まとまった情報にリーチすることが難しいということも感じています。

そこで、八重山のアーティストと、アートを取り巻く人たちにインタビューをして、記事にしようと考えました。インタビュー記事が増えていけば、とても貴重な情報媒体になるのではないかと。

というわけで、ART HUB YAIMA、始めます。

HUBという言葉が示すように、八重山のアート・アーティスト情報の集約・発信拠点、そして島内外の交流のハブとなっていけるよう、育てていきたいと思います。

また、リアルの場での展示企画などもやっていきたいと思っています。現在は、石垣島にある舟蔵の里ギャラリー邑という空間を担当させていただいているので、この場の活用はもちろん、島のあらゆる場所で何かアートに触れるしかけができたらいいなというのが私の想いです。

中学生の頃の私がたまたま鑑賞体験をする機会を得たように、誰かにとって、アートを好きになるきっかけ/ちょっと今日がいい日になるきっかけ/八重山をもっと好きになるきっかけ…そんなちょっとしたきっかけの種を少しずつ蒔いていけたらと思います。

さらに、この活動が、八重山の豊かな自然環境が芸術文化の礎となっていることを示す一助となればと思います。次世代へ、ずっと先の世代へ、この豊かな島々の自然と文化が受け継がれていくように。

ART HUB YAIMA企画運営 村上あす美